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​町家再生活動

建築設計士・施工者・造園・建築材料関係者等専門家を中心に、町家再生の技術的な支援を行っています。

 町家には厳密な定義はありませんが、室町時代以降日本各地の町に造られた商職人の住宅の総称です。一般的に、通りに面して間口を揃え、両側面を塗り込めて隣家と接し、町としての集積性を高めています。通りに面したミセノマは商売や職人の仕事場に用いられ、奥に生活の場を取っていますが、中には、もっぱら住まいとして使われる「しもたや(仕舞屋)」もあります。現代では、店をたたんで「しもたや」として残っている町家が少なくありません。


 町家に似た住宅形式で、数戸が一棟になった「長屋」もあります。町家はそれぞれが独立しており今でいう一戸建てですが、こちらは戸境壁を共有する集合住宅です。しかし、町家と長屋には共通点も多く、ここでは一緒に扱います。

 町家の魅力は何といっても道との関わり方でしょう。格子戸や出格子によって微妙に内外を分かった家々が下屋の低い軒の線を連ねる街並みは、人々に優しい感覚をもたらしています。道路がクルマに占有されるようになって町家形式の存続が危うくなっていますが、道における人々の生活の復権こそ、現代の生活環境に求められるものです。

 また、町家の持つ造形美は、様々な意匠の格子や防火のための漆喰壁、虫籠窓、大きな瓦葺き屋根、時にはステータスシンボルになる「うだつ(卯立つ)」などの優れた意匠で構成されています。それらは、大工や左官、瓦師、建具師などの伝統技術による職人芸が生み出したものです。

 

 町家の内部には現代の住まいにも役立つ沢山の知恵があります。トオリニワの土間や小さな自然を味わえる坪庭などです。特に風通しに工夫のある町家は、蒸し暑い日本の夏に適合したエコロジカルな住まいです。その分冬の寒さは一寸辛いですが・・・

 町家を生かすには、その良さを知ること、伝統技術を活用することはもちろんですが、現代
のライフスタイルに合わせる工夫や、災害に備えて耐震補強など現代の技術を取り入れること
も必要です。さらに、町家の持つ優れた住まい方システムを応用して、あたらしい町家を開発
し普及させていくことが、よい街並み景観を復活させるために求められていると言えます。

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